最高裁判所第一小法廷 昭和43年(あ)1705号 決定 1969年6月26日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人北村利弥、同小山齊、同戸田喬康の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、引用の高等裁判所の判例は、いずれも所論のような法律判断を示したものではないから、原判決が、高等裁判所の判例に違反する旨の論旨は前提を欠き、その余の引用判例は地方裁判所の判決であって、刑訴法四〇五条三号の判例にあたらず、所論は適法な上告理由にあたらない。
同第二点は、憲法二一条違反をいう点もあるが、実質はすべて単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由にあたらない(本件各文書が特定候補者の当選を目的とした単なる宣伝文書であり、本件につき公職選挙法一四二条違反の罪が成立するとした原判決の判断は、相当である。)
よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)